特定技能の申請方法を企業向けに解説!【必要書類一覧つき】

深刻な労働力不足を解消するために外国人材を採用する企業にとって、特定技能の申請は避けては通れない重要手続きです。制度運用の見直しに伴い、特定技能1号の対象分野は16分野へと拡大し、優良な受入れ機関に対する書類省略化や、定期届出の見直しなど実務面でのアップデートが進んでいます。
本記事では、出入国在留管理庁の公式運用要領に基づき、申請の種類、具体的な流れ、最新の必要書類、専門家による不備防止のポイントまでを徹底解説します。
特定技能制度とは?現在の概要と背景

特定技能制度の目的と対象分野の拡大
特定技能制度は、国内で人材確保が困難な産業分野において、一定の専門性・技能を持つ外国人を受け入れる制度です。
現在は従来の分野に自動車運送業、鉄道、発送電、林業、木材産業、リネンサプライなどが加わり、合計16分野での受け入れが行われています。また、将来的な新制度(育成就労制度)からのスムーズな移行を見据え、制度の透明化とデジタル化が進められています。
申請が必要な理由とコンプライアンス(法令順守)
特定技能で外国人を就労させるためには、入管庁から適切な在留資格(認定または変更・更新)の許可を受ける必要があります。
不法就労防止や人権保護の観点から、受入れ企業における社会保険・労働保険の加入、租税の納付、労働関係法令の遵守状況が厳格に審査されます。書類の不備や虚偽記載は申請の不許可だけでなく、将来的な外国人受け入れ停止措置(欠格事由への該当)に直結するため、正確な実務準備が不可欠です。
特定技能申請の種類と選び方
申請の種類は、対象者の居住地や状況によって以下の3つに分かれます。
| 申請の種類 | 対象者・シチュエーション | 手続きの概要 |
|---|---|---|
| 在留資格認定証明書交付申請(COE) | 海外在住者を新規呼び出し | 入管から交付されたCOEを現地本人へ送付し、現地の日本大使館等で査証(ビザ)を発行してもらう。 |
| 在留資格変更許可申請 | 国内在住者の移行・転職 (技能実習生、留学生、他社からの転職者など) | 既存の在留資格から「特定技能」へ変更する。特定技能1号から2号への変更もこれに該当。 |
| 在留期間更新許可申請 | すでに自社で就労中の特定技能外国人 | 通算在留期間の上限(1号は通算5年)を超えない範囲で、在留期間を更新する。 |
特定技能申請の流れ【実務完全ガイド】

ステップ1:分野別要件と受入枠の確認
建設・製造・介護など多くの分野では、分野別協議会への加入や受入れ人数の枠(建設分野や介護分野等の基準)が設定されています。申請前に自社が属する「特定産業分野別の運用要領別冊」を確認し、事前登録等の要件を満たしているか確認します。
ステップ2:雇用契約の締結と事前ガイダンス
日本人と同等以上の報酬額を保証した上で「特定技能雇用契約」を締結します。契約締結後、入国または申請前に外国人本人に対し、雇用条件や日本での生活に関する「事前ガイダンス」を実施します(対面または双方向でやり取り可能なオンライン形式)。
ステップ3:1号特定技能外国人支援計画の策定
1号特定技能外国人を受け入れる場合、生活支援(住居確保、空港送迎、日本語学習支援、生活オリエンテーションなど10項目の義務的支援)の計画策定が必須です。自社で実施体制(支援責任者・支援担当者の配置等)を組めない場合は、登録支援機関へ支援計画の全部を委託するのが一般的です。
ステップ4:入管への申請(オンラインまたは窓口)
出入国在留管理庁へ書類を提出します。「在留申請オンラインシステム」を利用することで、オフィスから24時間申請が可能です。審査期間は通常1〜3ヶ月程度ですが、不備による補正や時期によって前後します。
ステップ5:就労開始と定期届出・随時届出
就労開始後は、受入れ状況や支援の実施状況、雇用契約の変更などを入管へ報告する義務(定期届出および随時届出)が発生します。
特定技能申請に必要な書類一覧
出入国在留管理庁の基準に基づく、主要な提出書類の体系は以下の通りです。
① 企業(特定技能所属機関)側が準備する書類
- 特定技能所属機関の概要書(様式第1-11号)
- 登記事項証明書(発行から3ヶ月以内)
- 決算書の写し(直近2期分)
- 労働保険・社会保険の納付証明書類(公衆衛生・社会保障の適正履行を証明する資料)
- 租税の納付証明書(法人税、消費税等)
- 特定技能雇用契約書および雇用条件書の写し(様式第1-10号等)
- 1号特定技能外国人支援計画書(様式第1-17号/登録支援機関に委託する場合は契約書写し等)
- 公的義務履行に関する誓約書(様式第1-26号)
② 外国人本人が準備する書類
- 在留資格認定証明書交付申請書 または 在留資格変更許可申請書
- パスポートの写し(身分事項ページ)
- 顔写真(指定規格・3ヶ月以内に撮影したもの)
- 技能試験合格証明書の写し(または技能実習2号等を良好に修了したことを証明する書類)
- 日本語能力試験合格証明書の写し(JLPT N4以上、または国際交流基金日本語基礎テスト等)
- 外国人の履歴書(様式第1-3号)
- 健康診断書(所定の診断項目を満たすもの)
- 住民票の写し(※国内在住・変更申請の場合)
③ 分野別追加書類(例)
- 建設分野:国土交通大臣による「建設特定技能受入計画」の認定通知書
- 製造業(工業製品製造業)分野:製造オフショアリング・事業所確認に関する様式・誓約書等
- 介護分野:介護日本語評価試験の合格証、事業所の指定通知書等
- 自動車運送業分野:日本の運転免許証等の資格確認書類
💡【外国人雇用労務士の視点】申請不許可・遅延を防ぐ3つの実務ポイント
特定技能の申請においては、単に書類の「数を揃える」ことよりも、「記載内容の整合性と継続的な法令順守(コンプライアンス)」が厳しく問われます。外国人雇用労務士の実務現場で特に不許可や補正指示の原因となりやすい注意点を3つ解説します。
1. 「同等以上報酬」の客観的・論理的な説明
最も審査が厳格化しているのが、日本人と同等以上の報酬であるかの立証です。単に「基本給〇〇円」と記載するだけでなく、比較対象とする日本人従業員の職種・実務経験・給与体系図との整合性が求められます。「日本人より基本給は低いが、手当で調整している」といった合理的な説明がつかない設計は、不許可のリスクを高めます。
2. 社会保険・労働保険の「納期限遵守」の徹底
法人税等の税金だけでなく、社会保険料や労働保険料の納付状況も入念に確認されます。特に注意したいのが「納期限を守っているか」です。遅延利息を払って後から納付していたとしても、「納期限内の適正履行」が確認できない場合は追加の理由書提出を求められたり、審査期間が大幅に長引く原因になります。
3. 申請前の「労働基準法の自己点検」
36協定の届出漏れ、特別条項の限度時間超過、有給休暇の義務的取得(年5日)の未達成など、労働基準法違反が発覚した場合、受入れ機関としての「適格性」を問われ、特定技能の申請自体がストップする恐れがあります。申請書類を作成する前に、自社の勤怠管理や労務環境に不備がないかチェックしておくことが最大の防衛策です。
在留申請オンラインシステムの活用ポイント

出入国在留管理庁は、手続きの利便性向上と行政の効率化のため、オンライン申請の活用を推進しています。
オンライン申請のメリット
- 地方出入国在留管理局の窓口へ出向く必要がなく、交通費・待ち時間を削減。
- 24時間365日いつでもオフィスから申請可能。
- 在留カード等の郵送交付受取が可能(要件を満たす場合)。
利用準備と認証
- 所属機関の職員や申請取次行政書士が利用する場合、事前に「利用申出」手続きを行い、承認を受ける必要があります。
- 外国人本人が申請する場合は、マイナンバーカードを用いた本人認証等にも対応しています。
提出上の注意点
- 添付書類のスキャン解像度やファイル形式(PDF等)の規定を守り、記載漏れを防ぐこと。不鮮明な画像データは補正(再提出)指示の原因となります。
費用と標準処理期間の目安
行政手数料(納付印紙代)
- 認定(COE):無料
- 変更・更新:4,000円(許可時に収入印紙で納付)
外部委託費用(目安)
- 登録支援機関への支援委託料:受入外国人1名あたり月額2万円〜4万円程度
- 申請取次行政書士への代行報酬:1名あたり10万円〜20万円程度
標準処理期間
- 在留資格認定証明書交付申請(海外呼び寄せ):1ヶ月〜3ヶ月程度
- 在留資格変更許可申請(国内移行):1ヶ月〜2ヶ月程度
特定技能申請を成功させるポイント

特定技能外国人の受け入れを成功させる鍵は、「法改正・運用要領アップデートへの迅速な適応」と「コンプライアンスを意識した事前準備」にあります。特に特定技能2号へのステップアップを見据えた長期的なキャリアパス構築は、優秀な外国人材に選ばれる企業になるための大きな強みとなります。
今すぐ確認すべき社内チェックリスト
- 自社の事業内容が最新の16分野および指定された業務区分に合致しているか?
- 分野別協議会への加入要件や事前手続きを確認・完了しているか?
- 比較対象となる日本人労働者の賃金データと契約内容に整合性があるか?
- 在留申請オンラインシステムの利用申出・アカウント準備は完了しているか?
- 自社支援か登録支援機関への委託か、受け入れ・支援体制が確定しているか?
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